翻訳・通訳のトビラへの寄稿記事(第6回)
最終回の今回は、Wordマクロのプログラミングについてご紹介します。
「かゆいところに手が届くマクロですね。」「プログラミングは思ったよりも難しくないですね。」「今後の独学の基礎体力作りができました。」「マクロの本が理解できるようになりました。」
プログラミングを学ぶWordマクロセミナーに参加いただいた方からこのような声をいただきました。みなさんも、Wordをもっと自分流にチューニングするためのプログラミングを学んでみませんか?私は、以下の理由から、翻訳者はWordマクロのプログラミングになじみやすいと思っています。
・プログラミング自体が「自然言語」から「コンピュータ言語」への翻訳作業
・プログラミングは、翻訳と同様に調べものの繰り返し
・Wordマクロの情報源は海外のウェブサイトがメインであるため、語学力が高いと情報収集に有利
・読むこと、書くことへの抵抗感がないほうがプログラミングにとっつきやすい
・翻訳者はWordを日々使っているため、プログラミングで得られるWordの自動化のメリットを感じやすい
・翻訳者本人がWordの自動化のニーズを持っており、プログラムの仕様を自分で決めやすい
翻訳者はそれぞれが独自の翻訳手法を持っています。おそらく、一人一人が違うステップで翻訳をしていると言っても過言ではないでしょう。翻訳ツールの利用状況、辞書の種類、辞書検索ツールの種類、オンライン辞書の利用状況、翻訳の順序、翻訳分野、目指す翻訳品質(お客さんの要望の差)など、千差万別です。
ウェブサイトや書籍には様々な翻訳手法が紹介されていますが、それらは紹介者にとって最適なやり方あって、万人が同じように使いこなせるとは限りません。このことは、これまでに私が紹介した諸々の翻訳支援用のマクロに対しても同じです。
「翻訳ツールを使いこなす」というのは、翻訳ツールのすべての機能を使うことではありません。あくまでも、「求められる品質の翻訳文を短時間で作ること」が目的で、その目的に対して「翻訳ツールを使う」ものだと思います。よって、与えられた翻訳ツールをただ使えるようになるのではなく、自分の翻訳分野や環境に応じて、自分なりの使い方を考えていくことが大切だと思います。
Wordマクロは、この点で役に立つツールです。
機械翻訳や翻訳メモリーによる翻訳文の校正にWordマクロを使ってもいいでしょう。それらのツールを使う前の下準備にWordマクロを使ってもいいですね。翻訳支援ツールを使わない人は、Wordでの文字入力やチェックにWordマクロを使ってもいいですね。
このように、今の翻訳手法を否定することなくWordマクロを組み合わせることで、相乗効果が得られると思います。
目指すのは、「ちょっとしたことの自動化」によるうれしさの追求と、「作業環境のカスタマイズ」による気分のよさの追求です。こういうカスタマイズや作り込みの作業自体が楽しいですよね。そして、その結果が仕事の効率化につながるのですから、プログラミングはやめられないのです。
ここで気になるのは、翻訳者である自分にWordマクロのプログラミングができるのか?ということですね。
答えは「できます。」です。
私たちはプログラマーになるわけではありませんので、ゼロからプログラミングをする必要は全くありません。既存のマクロを自分の好みに修正することから始めます。そして、第1回目の記事で紹介した「2秒のマクロ」を自分目線でつくることを目指します。小さな、しかし毎日数十回繰り返す作業を自動化していくのです。これは、現在の翻訳手法をサポートするマクロですね。
私は翻訳者向けのマクロをブログで公開しています。それをコピーして使うだけでマクロの効果を実感できると思います。最終的には、自分の作業環境にあわせて微調整することが大切です。マーキング用の蛍光ペンの色や、自動処理後のカーソルの位置など、自分流にカスタマイズしたいですよね。さらに、マクロを割り当てるショートカットキーも大切です。このことは、連載第3回の記事でご紹介したとおりです。
完璧なプログラムを作る必要はありません。80%自動化できるだけでも十分ですよね。そのコツに気づけたら、ちょっとした作業を自動化する楽しみが広がります。
Wordのプログラミングにご興味をお持ちの方は、ぜひWordのプログラミングセミナーにおこしください。定期的に開催しています。本格的なプログラマーを養成するためのセミナーではなく、翻訳者として自分のプログラムを作るためのセミナーです。独学に必要最小限の基礎知識を身につけることを目的にしています。
Wordをチューニングする楽しさをもっと追求してみたい方、セミナーのスケジュールをブログ「みんなのワードマクロ」でご確認ください。
これまで、6回の連載記事をお読みいただき、どうもありがとうございました。ブログでは今後も翻訳に使えるマクロやセミナー情報を掲載していきます。引き続きご覧ください。
マクロは続くよ、どこまでも!
~目次~
第1回 Wordマクロって何?
第2回 マクロに切替えるポイント
第3回 気づいた瞬間に目がキラリ!
第4回 心地よい作業空間
第5回 翻訳に活用できる 「本格派」マクロをご紹介!
第6回 マクロは続くよ、どこまでも!
~関連ブログ記事~
翻訳・通訳のトビラ フォロー記事一覧
「かゆいところに手が届くマクロですね。」「プログラミングは思ったよりも難しくないですね。」「今後の独学の基礎体力作りができました。」「マクロの本が理解できるようになりました。」
プログラミングを学ぶWordマクロセミナーに参加いただいた方からこのような声をいただきました。みなさんも、Wordをもっと自分流にチューニングするためのプログラミングを学んでみませんか?私は、以下の理由から、翻訳者はWordマクロのプログラミングになじみやすいと思っています。
・プログラミング自体が「自然言語」から「コンピュータ言語」への翻訳作業
・プログラミングは、翻訳と同様に調べものの繰り返し
・Wordマクロの情報源は海外のウェブサイトがメインであるため、語学力が高いと情報収集に有利
・読むこと、書くことへの抵抗感がないほうがプログラミングにとっつきやすい
・翻訳者はWordを日々使っているため、プログラミングで得られるWordの自動化のメリットを感じやすい
・翻訳者本人がWordの自動化のニーズを持っており、プログラムの仕様を自分で決めやすい
翻訳者はそれぞれが独自の翻訳手法を持っています。おそらく、一人一人が違うステップで翻訳をしていると言っても過言ではないでしょう。翻訳ツールの利用状況、辞書の種類、辞書検索ツールの種類、オンライン辞書の利用状況、翻訳の順序、翻訳分野、目指す翻訳品質(お客さんの要望の差)など、千差万別です。
ウェブサイトや書籍には様々な翻訳手法が紹介されていますが、それらは紹介者にとって最適なやり方あって、万人が同じように使いこなせるとは限りません。このことは、これまでに私が紹介した諸々の翻訳支援用のマクロに対しても同じです。
「翻訳ツールを使いこなす」というのは、翻訳ツールのすべての機能を使うことではありません。あくまでも、「求められる品質の翻訳文を短時間で作ること」が目的で、その目的に対して「翻訳ツールを使う」ものだと思います。よって、与えられた翻訳ツールをただ使えるようになるのではなく、自分の翻訳分野や環境に応じて、自分なりの使い方を考えていくことが大切だと思います。
Wordマクロは、この点で役に立つツールです。
機械翻訳や翻訳メモリーによる翻訳文の校正にWordマクロを使ってもいいでしょう。それらのツールを使う前の下準備にWordマクロを使ってもいいですね。翻訳支援ツールを使わない人は、Wordでの文字入力やチェックにWordマクロを使ってもいいですね。
このように、今の翻訳手法を否定することなくWordマクロを組み合わせることで、相乗効果が得られると思います。
目指すのは、「ちょっとしたことの自動化」によるうれしさの追求と、「作業環境のカスタマイズ」による気分のよさの追求です。こういうカスタマイズや作り込みの作業自体が楽しいですよね。そして、その結果が仕事の効率化につながるのですから、プログラミングはやめられないのです。
ここで気になるのは、翻訳者である自分にWordマクロのプログラミングができるのか?ということですね。
答えは「できます。」です。
私たちはプログラマーになるわけではありませんので、ゼロからプログラミングをする必要は全くありません。既存のマクロを自分の好みに修正することから始めます。そして、第1回目の記事で紹介した「2秒のマクロ」を自分目線でつくることを目指します。小さな、しかし毎日数十回繰り返す作業を自動化していくのです。これは、現在の翻訳手法をサポートするマクロですね。
私は翻訳者向けのマクロをブログで公開しています。それをコピーして使うだけでマクロの効果を実感できると思います。最終的には、自分の作業環境にあわせて微調整することが大切です。マーキング用の蛍光ペンの色や、自動処理後のカーソルの位置など、自分流にカスタマイズしたいですよね。さらに、マクロを割り当てるショートカットキーも大切です。このことは、連載第3回の記事でご紹介したとおりです。
完璧なプログラムを作る必要はありません。80%自動化できるだけでも十分ですよね。そのコツに気づけたら、ちょっとした作業を自動化する楽しみが広がります。
Wordのプログラミングにご興味をお持ちの方は、ぜひWordのプログラミングセミナーにおこしください。定期的に開催しています。本格的なプログラマーを養成するためのセミナーではなく、翻訳者として自分のプログラムを作るためのセミナーです。独学に必要最小限の基礎知識を身につけることを目的にしています。
Wordをチューニングする楽しさをもっと追求してみたい方、セミナーのスケジュールをブログ「みんなのワードマクロ」でご確認ください。
これまで、6回の連載記事をお読みいただき、どうもありがとうございました。ブログでは今後も翻訳に使えるマクロやセミナー情報を掲載していきます。引き続きご覧ください。
マクロは続くよ、どこまでも!
~目次~
第1回 Wordマクロって何?
第2回 マクロに切替えるポイント
第3回 気づいた瞬間に目がキラリ!
第4回 心地よい作業空間
第5回 翻訳に活用できる 「本格派」マクロをご紹介!
第6回 マクロは続くよ、どこまでも!
~関連ブログ記事~
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